お墓にまつわる数々の資格

彼らは、涼しい顔で、きっとこう反論したことでしょう。
ご指摘の箇所については、確かに、貴社におけるコンサルティングの経験が生かされております。 しかし、過去に世界中で行った弊社のさまざまなコンサルティングから得られた知見の上に、貴社のプロジェクトでの経験が加わり、全体として「ベスト・プラクティス」を構成しているものです。
また、表現振りは抽象化され、一般化していることから、貴社にご迷惑がかからないものと考えていますこのように、「守秘義務」と「ベスト・プラクティス」の微妙な関係の中で、サービスを提供しているのが、「コンサルティング・ファーム」なのです。 「コンサルティング・ファーム」は、クライアント(顧客)の事情に即した、ワンの問題解決法(ソリューシヨン)の提供を誼い文句にしています。
つまり、「あなたの会社や組織に最適な、オーダーメード型の解Hを提供します」というのが触れ込みです。 クライアント(顧客)側からすれば、「万人に効く薬ではなく、あなたの症状に合わせた処方筆ですよ」と言われれば、その分、市販の薬よりも高くても仕方ない、と思うのが自然な感覚でしょう。
ところが、そのコンサルティングが、どの程度、オーダーメード化されたものなのか、じつは、他社にもばら撒いている「市販薬」なのかは、クライアント(顧客)側からはうかがい知ることができません。 「コンサルティング・ファーム」は、他社でのコンサル事例をそのまま使い回し、それにもかかわらず高価な報酬を要求しているのではないか。
そういう疑念を完全に払拭することはむずかしいのです。 そうした疑惑のケースに日系企業が巻き込まれた例があります。

『ザ・コンサルティングファーム』(日経BP社)という本で取り上げられた、その事案に巻き込まれたのは、米国N自動車でした。 同書によれば、事の顛末は以下のようなものです。
ー米国N自動車では、職場の人種差別や性差別に対処するための枠組みとして人事・年金系のコンサルティング・ファームである「タワiズ・ペリン」が開発した「ダイバーシティ・プラクティス(多様化手法)」を採用した。 そして、数多くのヒアリング(聞き取り調査)やインタビューを終えてN自動車が受け取った「解決策」は、同社の実態にそぐわないものだった。
じつは、その内容は、家電メーカー・トムソン社向けに送られたものと酷似していた。 そればかりか、「タワーズ・ペリン」がその前後に行った11件の調査の報告書がほとんど同一内容であることが後日、判明した。
「タワーズ・ペリン」は、「問題の所在が類似なら、解決策も似通うのはやむをえない」と反論している本件の真偽のほどは別にして、このほかにも類似のケースから、アメリカではクライアント(顧客)とコンサルティング・ファームとの間で訴訟にまで発展したケースが数多く存在しています。 そして、かベスト&ブライテスト(最良にして最高の頭脳を持つ人材が、自分に固有の悩みに真剣に向き合い、それを解決するために、最善の提言をしてくれる。
だから、高いコンサルティング料も惜しくはない。 「コンサルティング・ファーム」をそのような神のような存在として信じることが的外れであることが、明らかになってきているのです。
第1章でもお話ししたように、わが国において、「コンサルティング業界」は、20OO億円を超える売上のある一大産業です。 しかも、このビジネスの「原価」は、人件費がその大宗を占めます。

「マッキンゼー」や「ボストン・コンサルティング」などの大手ファームには、数百名の社員がいますが、彼らのオフィスはピルの一フロア程度にすぎません。 それは、第2章で述べたとおり、「プロジェクト・マネージャー」、「アソシェイツ」、「アナリスト」の多くは、クライアント(顧客)のオフィスや工場。
「サイト」と呼ばれますに常駐して仕事をしていることが多いためです。 したがって、「コンサルティング・ファーム」は、社員数よりはるかに少ない共有スペースを用意すればよく、賃貸料も設備投資もさほど嵩まないことになります。
また、印刷代や調査費用、出張費用などの必要経費ですが、有名「コンサルティング・ファーム」では、それらの費用もクライアント(顧客)持ちとすることを条件にしているところもあります。 つまり、「売上」の原価のうち、変動費は「人件費」のみ、ということになります。
一方、「人件費」は、すでに見たとおり、上に行くほど高給になる仕組みになっています。 ここで、図表日(108ページ)を例に、「コンサルティング・ファーム」の利益を試算してみることにしましょう。
あるプロジェクトに、「パートナー」が一人、「プロジェクト・マネージャー」が一人、「アソシェイツ」が2人、「アナリスト」が三人、計七人が関与するとします。 そして、「プロジェクト・マネージャー」の年収を2000万円、「アソシェイツ」を10OO万円、「アナリスト」を6OO万円とします。
これは、示した各職種の推定年収の平均値あたりをとっていることになります。 また、社会保険などの広義の人件費や、賃料・交際費などの間接経費の合計が、直接的な人件費。
すなわち、社員に支払われる報酬の2倍程度かかると仮定します。 そして、このプロジェクトは、1年間続き、「コンサルティング料」は月2000万円だったとしましょう。
このとき、「コンサルティング・ファーム」の経営者であり、株主でもある「パートナー」には、いくらの利益が入ってくるのでしょうか?図表[A]のとおり、クライアント(顧客)から受け取るコンサルティング料が、年間2億4000万円、「プロジェクト・マネージャー」以下の社員に支払う報酬が五8OO万円、そのほかの間接経費が一億16OO万円となり、「コンサルティング・ファーム」には、66OO万円が残ることになります。 この「ファーム」にパートナーが一人だけであれば、あるいは、すべての「パートナー」が同じチーム編成で同じ売上を上げれば、「パートナー」の年収は、66OO万円となるのです。

ここで、「パートナー」には、2つの誘惑が働きます。 メンバー構成の変更です。
先ほどの例では、「アソシェイツ」が2人・「アナリスト」が三人でしたが、これを、「アソシェイツ」が一人・「アナリスト」が4人に変えます。 すなわち、「アソシェイツ」のうち一人をより若手で経験の乏しいもう一つの誘惑は、「パートナー」が複数のプロジェクトを掛け持ちすることです。
先ほどの例では、一人の「パートナー」が一つのプロジェクトに掛かりきり、という仮定を置きましたが、現実には、複数のプロジェクトが同時並行的に走っています。 「パートナー」の取り分は2件を同時に見れば66OO万円の2倍、三件であれば三倍、というように、増えていきます。
図表日(一2一ページ)で見たように、有力コンサルティング・ファームのの年収は、数億円程度と言われていますが、これを可能にするのが、このようなか鵜飼の鵜つまり、「パートナー」にとっては、なるべく多くのプロジェクトを同時並行的に走らせ、「プロジェクト・マネージャー」という鵜Hにたくさんの魚を捕まえさせることが経済的に合理的な行動ということになります。


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